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探し物は何ですか?

「着いたけど?」
ケータイ電話の小さな窓から彼女が半分ふてくされているのが分かる。
そりゃそうだろう。急な海外出張が決まり、朝からてんてこ舞い。週末の小旅行の約束もキャンセルした上で、成田からのお願いメールなのだから。
「悪いね、もうちょっと時間があるから何とかなると思う」
彼女の左側の唇だけが少し上にあがった。不機嫌になるときの彼女の癖だ。僕は彼女の機嫌を損ねないように、慎重に、特に慎重に行動しないといけないと肝に銘じたのだった。
「で、その書類ってどこにあるの?」彼女は合鍵を使って僕のアパートに入りながら聞いてきた。
「記憶が定かじゃないんだよね~。たぶん・・・テレビの横の戸棚を見てくれないかな?」
「・・・ちょっとまってよ・・・」と彼女は靴を脱ぐのに時間が掛かっているようだ。
「・・えっと、何色の封筒だっけ?封筒じゃないんだっけ?」戸棚に到着したらしく、当然のような質問をぶつけてくる。
「カメラで見せてくれる?」といったら彼女は戸棚にケータイのカメラを向けてくれた。
「・・・うーん、ここじゃないなぁ。」
「しっかりしてよぉ。私だって忙しいんだからさぁ。本当にここじゃないの?」
「うん、違うな。たぶん。えっと、ベッドサイドの棚の近くにないかな?」
「えぇ?ベッドサイドですか?・・・いったいどういう記憶力なの?」と消え入りそうな声を発しながら彼女が急な方向転換をした事は画面のブロックノイズから察しがついた。
「やだ、パジャマ脱ぎっぱなしじゃない!」と愚痴をこぼしながら「洗濯しとこうか?」と暫くの間家を空ける僕を気遣っていた。
「助かるよ・・・あ、そこそこ!そこの引き出し、、そうそう左から2番目の・・・そ!そこ!」
指示通りに2番目の引き出しを開ける彼女。何かに引っかかっているようで、なかなか素直に開いてくれない。その引き出しは。だからこそなんだけど。
暫く、がっがっがっと取っ手を持った手を左右に振りながら少しずつ引き出しを引き出す彼女。
「・・・・あっ!」
「・・・返事は帰国してからでいいから。じゃ行ってくるね」と僕は搭乗ゲートに向かいつつ、ケータイの電源を落とした。
彼女の左の薬指に似合うと思った小さな小さな無職透明の石が付いた婚約指輪。彼女が気に入ってくれることを祈っていた。

-了- 拍手コメントを見る

コメント

夢の中へ、出発ですか? (^^;)

なはは

書き始めはコントだったんだけどね。
このままでもいいかな~と思ったのと、考えるほどオチがつまんなく思えちゃったりして。

テレビ電話(FOMA)の活用法考えて思いついたお話でした。
因みに僕はauユーザーですが。

ところで

あなたの探し物は「御名前」ですね。

え、え?これ実話ではなかったのか・・・・。
ステキィーなんて思いながら読んでたのに(^^;

自分も実は実話だと思って読んじゃいました....何となく雷蔵さんに起こりそうなシチュエーションだったので(笑)

文才ありますねー。

ありがとうっ!

なさそでありそな話。
事実は小説より、えなり。「そんなことないよぉ」

最初に考えたオチは今更いえなくなりました。

ぶらいあんさん、ヒラ社員さん、実践してくれてエエヨ。(笑)

おお、こんなのってあるのか!?
実話か!奥さん、うらやまーと私も思っていました。

結婚前に彼の部屋を掃除しては、
出てきたのは前の彼女からラブレター...
おまけにプロポーズされたときのシュチュエーションは、
間違っても人に言えない。

やっぱり女性にとっては、思い出に残るような、
”きれー””ロマンティック”なのが良いですよねえ。

雷蔵君の実話はどうだったんでしょ?

実話

2人で選びました。ロマンチックでも何でもないです~(笑)

周りにもう少し石が欲しいと言うので、「じゃ、スウィートテンは無しだぞ」と念を押すちっちゃい自分。
了解を得たと思っていましたが、年数過ぎて「そんなこと言ったっけ?」だと。

今年、何とかその年になります。

花でいいかな?
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