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似非ファッション通

自分は結構流行に敏感だから若者のファッションについての話ぐらいはできると混雑した車内で大声で話す初老の男の頬はうっすらと赤くなっていた。そのファッション通の男に従っているリクルートスーツに身を包んだ若い女性二人はうんうんと頷いている。上司と新入社員という関係の様だ。

東京METRO南北線目黒方面にその女性二人組は乗ってきた。夜はこれから。六本木にでも繰り出すのか挑発的な格好をしている。
車内はほろ酔い気分で家路についているサラリーマンたちが若い女性の登場に心が踊り、会話のボリュームが上がっていたり、脈略もなくモノマネを突然始める新入社員のコミュニティーがいたり、兎に角注目をあびようと躍起になりかけていた。

だが、その女性二人の雰囲気を各々が確認すると一度は燃え上がった炎もあっという間に鎮火の波が押し寄せて静かな凪状態となった。

彼女たちは、そう、思った以上にダイナミックだった。

女性のひとりはピンクのやや丈の短いTシャツを着ており、いかにも遊びなれた化粧をしている。左手にはハデハデのFRISKケースを持ち、反対の右手には大きめのプラダの様なバッグを肩に乗せたまま、ずんずんと混み合う社内を中ほどまで進んでいった。

中ほどの席では、先ほどのファッション通の初老の上司が酔った勢いに任せて数駅前から戦時中の話に突撃していた。
彼は話に夢中になっており、挑発娘の登場に全く気が付いていない。

挑発娘は大きなその荷物を網棚に投げ入れた。いや、投げ入れようとしたがあえなく落下。その結果戦争話に夢中になっているオヤジの頭に直撃したのだ。
謝る挑発娘の存在に一瞬だけ怯んだファッション通の戦争オヤジは、従える新入社員の手前もあり、心の広さを強調しつつ問題ないと笑顔を返す。

一通り謝り尽くした意外に腰の低い挑発娘は再び網棚に挑み、ようやく後一押しの状態までにこぎつけた。
が、そこで膠着。今や揺れる車内で万歳状態である。

短いTシャツからこぼれるはみ出し気味の腹部が電車の挙動と連動するように波を打っている。

ファッション通の戦争オヤジは、身動きのとれなくなった腰の低い挑発娘に向かって微笑みながら言った。

「腹だしルックですね」

期せずして復讐を成し遂げた戦争オヤジの部下二人の顔は青ざめていたが、それ以上に直撃を受けたハゲ頭も青くなり始めていた。 拍手コメントを見る

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